ADULTY CHILD
「参ったなぁ…
でもこんな時間にここを通る人なんてもういないだろうし…
もしもーし、生きてますかー?」
その人の傍にしゃがみ込んで声を掛けてみる。
「うう…寒い…」
「寒い?
そりゃそうですよ、冬ですもん。
雪降ってきたし、早く帰らないと風邪引きますよ?
っていうか、下手すると死んじゃいますよー?」
「うう…寒い…」
よほど寒いのだろう、うずくまっていたその人は大きな身体を更に縮こませた。
身体を丸めているせいで顔は確認出来ないが、声や背格好から若い男なのが伺える。
あのハゲ部長みたいな奴だったらこんな面倒事に巻き込まれるなんて真っ平ごめんだが、自分と大して変わらない年端の男なら話は別だ。
その上もしイケメンだったりなんかしたら、是が非でも助けなければ。
どうせ感謝されるなら、イケメンの方が良いじゃないか?
なんて邪な思いを抱きながら、彼女は自分の膝を抱える様にしてそこに顔を埋めている男に顔を寄せた。
「家がこの辺なら送っていきますから…
立てますか?」
「寒い…寒い…」
彼女の声が聞こえていないのか、男はうわ言の様にただ寒いと繰り返すばかりだ。
一瞬躊躇って、男に手を伸ばす。
冷えきっているだろうと思われたその身体は、彼女のかじかんだ指先が火傷を負いそうになる程熱を帯びていた。
「熱有るじゃないですか!
もしもし、聞こえてます!?
このままじゃ本当に凍え死んじゃいますよっ!!」
「え…?」
肩を掴んで揺さぶったお陰でやっと彼女の存在に気付いたらしい男が、重々しく顔を上げた。
「…誰…?」
「それは私が聞きたいですよ。
何でこんな所に倒れ込んだりしてるんですか?」
「…?……」
虚ろな目に彼女の顔がぼんやりと映っている。
その瞳が一瞬怯えた様に揺らいで、突然閉じられた。
と同時に男の身体が崩れ落ちる。
「あっ、ちょっと!
大丈夫ですか!?
ねえってば!!」
次第に大粒になった雪が降りしきる中、彼女の声だけが静寂を引き裂いていた。
でもこんな時間にここを通る人なんてもういないだろうし…
もしもーし、生きてますかー?」
その人の傍にしゃがみ込んで声を掛けてみる。
「うう…寒い…」
「寒い?
そりゃそうですよ、冬ですもん。
雪降ってきたし、早く帰らないと風邪引きますよ?
っていうか、下手すると死んじゃいますよー?」
「うう…寒い…」
よほど寒いのだろう、うずくまっていたその人は大きな身体を更に縮こませた。
身体を丸めているせいで顔は確認出来ないが、声や背格好から若い男なのが伺える。
あのハゲ部長みたいな奴だったらこんな面倒事に巻き込まれるなんて真っ平ごめんだが、自分と大して変わらない年端の男なら話は別だ。
その上もしイケメンだったりなんかしたら、是が非でも助けなければ。
どうせ感謝されるなら、イケメンの方が良いじゃないか?
なんて邪な思いを抱きながら、彼女は自分の膝を抱える様にしてそこに顔を埋めている男に顔を寄せた。
「家がこの辺なら送っていきますから…
立てますか?」
「寒い…寒い…」
彼女の声が聞こえていないのか、男はうわ言の様にただ寒いと繰り返すばかりだ。
一瞬躊躇って、男に手を伸ばす。
冷えきっているだろうと思われたその身体は、彼女のかじかんだ指先が火傷を負いそうになる程熱を帯びていた。
「熱有るじゃないですか!
もしもし、聞こえてます!?
このままじゃ本当に凍え死んじゃいますよっ!!」
「え…?」
肩を掴んで揺さぶったお陰でやっと彼女の存在に気付いたらしい男が、重々しく顔を上げた。
「…誰…?」
「それは私が聞きたいですよ。
何でこんな所に倒れ込んだりしてるんですか?」
「…?……」
虚ろな目に彼女の顔がぼんやりと映っている。
その瞳が一瞬怯えた様に揺らいで、突然閉じられた。
と同時に男の身体が崩れ落ちる。
「あっ、ちょっと!
大丈夫ですか!?
ねえってば!!」
次第に大粒になった雪が降りしきる中、彼女の声だけが静寂を引き裂いていた。