ADULTY CHILD
「何されたかしんねぇけど、とにかくそいつは普通の男だから!
まっ、ちょっと変わってっけどね。
てか、銀そこにいるなら代わってよ」

まだ声に笑いを混ぜながら言う男の言葉に、私はまだ泣いているだろうと思われたぎんと言う男に振り返った。

「すぅ…すぅ…」

「ね、寝てるし…」

泣き疲れて寝たとでもいうのか、ぎんという男は座り込んで壁にもたれた状態で眠りに落ちていた。
まだ熱はかなり高い様だ、額からツウッと汗が流れているのが見える。

「おーい、銀ー?」

握り締めていた携帯電話から聞こえてくる男の声に、ハッと我に帰った桜は、呼び掛けてくる声に応えた。

「あ、もしもし…」

「銀は?」

「寝ちゃって…ます…」

「はぁ!?
んだよ、結局ヤる事やってんじゃん!」

男の言葉に桜は自分の耳を疑った。

「んじゃ後は宜しくって事で!
あ、起きたら俺に電話しろって言っといて!」

「あ、ちょっと!?」

一方的に切られた携帯電話を持つ手から力が抜ける。
ゴトッと鈍い音を立てて床に落ちた携帯電話。
壁にもたれてすやすやと眠っているぎんという男。

桜は、ただ1人状況が図れず、静まりかえった部屋で天井を仰ぐ事しか出来なかった。
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