彼は私に後悔する


「じゃあ、当日の撮影当番はこんな感じで。
前のステージが始まるときにカメラスタンバイしてね。」


学校祭まで1週間。
今日は昨日完成したプログラムを元に、撮影当番を決めていく。
私たち3年生は、この学校祭で最後の仕事になってしまうため、心なしか気合いが入っている。


「ミチ、クラスの子が呼んでるよ~」


副委員長のハルに言われて慌てて立ち上がる。
ドアを開けると、壁に寄りかかる男の子がいた。


「イツキ、どうしたの?」

「ここの台詞なんだけど、なんかうまく感情がつかめなくて...」


何度も読み返したであろう台本を丸めて本気で悩む素振りをみせる。

クラスメートの深沢 樹。
サッカー部で頭も良く、クラスの代表委員もやってるしっかり者。


「そんなことで!?
他の子達に聞けばいいのに」


呆れながら台本を見せてもらって台詞を確認する。


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