超純な彼と微不純な彼女 【2人だけの夜】

そして、とうとう
12月31日になって~




奇跡なんて……起きる訳ないじゃん。



んな事わかってたけど……わかってたけどね……でも、どうしても諦めきれなくて……。




壁に吊られた着物、
赤紫地に色とりどりの花が、大小散りばめられた艶やかな柄……。




エーン、エーン~
これを着て、響くんと除夜の鐘を聞く筈だったのにぃ~




泣いたって、わめいたって、暴れたって……事態は変わる事なかった。




熱が下がらなくて、トイレに立っただけで、頭がクラクラするよ。



響くんに発信した。

「響く~ん、やっぱ無理だよ
一緒にカウントダウンしたかったのに…エーン~エーン~」


泣いて…泣いて…泣いて………




電話の向こうで、響くんは困ってた。






< 166 / 217 >

この作品をシェア

pagetop