女の子として見てください！
「でも、いいと思いますよ。俺、美桜さんのこと応援します」

飯尾君はそんな温かい応援をくれる。
染みがついてしまうというのに自分のハンカチをアッサリ貸してくれたという直後なのもあってか、その言葉は更にやさしく温かく感じる。
けど。


「ダメだよ……。理由はわかんないけど、職場恋愛はしないって言われたもん」

そう。だからせめてその理由だけでも知って、早く諦めようとしている。


だけど飯尾君は、深く考える様子もなく、サラッとこう話す。

「もしかしたら、深い理由なんてないのかもしれませんよ」

「えー？」

「たとえば、元カノの弟である俺に、現在の恋愛を知られたり見られたりするのが嫌で、職場恋愛はしないって決めてるだけかもしれないですよ」

「もしそうだとしたら、今すぐどこか別の署へ移動して、飯尾君」

「嫌です」

なんて、冗談はさておき。
そう、冗談。そんな理由で翔さんが私を拒絶したわけじゃないっていうことは、翔さんの表情や行動でわかる。
でも、飯尾君は私の気持ちを軽くしようとしてくれてるんだろうな。それはうれしく思う。まあ、ここでもただの天然かもしれないけど。
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