女の子として見てください!
「犯人は相当気が狂っていて、何人をも切りつけた後、目をつけたのがユキだった。
ユキを、人質にしたんだ」
「人、質……」
「ユキは恐怖で動けなくなって。
蒼白な顔で、泣きそうになりながら弱々しく俺の名前を呼んで、俺に助けを求めた。あの時のユキの顔が、今でも忘れられない」
「それで、ユキさんが人質になったあとはどうなったんですか……?」
「……ナイフを持った犯人の人質になったとはいえ、きっと俺が勢いよく取り押さえに行けば、ユキはすぐに開放されただろう。
でも、ムリだった……」
「どうして……?」
「……すごく情けない話。俺、大量の血を見ると、身体が固まって動けなくなるんだ」
翔さんからの、意外すぎるカミングアウト。
血を見ると、ダメ?翔さんが?
「警察官になってすぐに、大きな事件があって。先輩に連れ出された現場は血の海で。
それを見たら、身体が固まって、心臓も冷たくなるような感覚がして。息もできなくなりそうになって。
病院にも行ったけど、精神的なものだからこれといった治療法もないって言われて。
本当に、情けない。刑事なのに」
すごく、辛そうな翔さんの瞳。
きっと、私が思っている以上に、そのことでしんどい思いをたくさんしてきたのだろう。
「だから、ユキが人質になった時も。
死者が出なかったとはいえ、辺りには血を流して倒れている人が多かったから。
また、発作が起きそうになって、目の前で彼女が泣きそうな顔で俺に助けを求めているのに……俺は、なにもできなかった」
今にも泣き出しそうな翔さんを目の前にして、胸がキュッと締めつけられる。
そうか。ユキさんが翔さんに対して冷たい態度をとっていたのは、そういうことがあったからなんだ。
ユキさんも辛かったのだろうけど、きっと、翔さんもそれ以上に辛かったのだろう。
ユキを、人質にしたんだ」
「人、質……」
「ユキは恐怖で動けなくなって。
蒼白な顔で、泣きそうになりながら弱々しく俺の名前を呼んで、俺に助けを求めた。あの時のユキの顔が、今でも忘れられない」
「それで、ユキさんが人質になったあとはどうなったんですか……?」
「……ナイフを持った犯人の人質になったとはいえ、きっと俺が勢いよく取り押さえに行けば、ユキはすぐに開放されただろう。
でも、ムリだった……」
「どうして……?」
「……すごく情けない話。俺、大量の血を見ると、身体が固まって動けなくなるんだ」
翔さんからの、意外すぎるカミングアウト。
血を見ると、ダメ?翔さんが?
「警察官になってすぐに、大きな事件があって。先輩に連れ出された現場は血の海で。
それを見たら、身体が固まって、心臓も冷たくなるような感覚がして。息もできなくなりそうになって。
病院にも行ったけど、精神的なものだからこれといった治療法もないって言われて。
本当に、情けない。刑事なのに」
すごく、辛そうな翔さんの瞳。
きっと、私が思っている以上に、そのことでしんどい思いをたくさんしてきたのだろう。
「だから、ユキが人質になった時も。
死者が出なかったとはいえ、辺りには血を流して倒れている人が多かったから。
また、発作が起きそうになって、目の前で彼女が泣きそうな顔で俺に助けを求めているのに……俺は、なにもできなかった」
今にも泣き出しそうな翔さんを目の前にして、胸がキュッと締めつけられる。
そうか。ユキさんが翔さんに対して冷たい態度をとっていたのは、そういうことがあったからなんだ。
ユキさんも辛かったのだろうけど、きっと、翔さんもそれ以上に辛かったのだろう。