女の子として見てください!
「そんな……」

「その後、俺とユキは別れたんだけど。
ユキは、俺のことがよっぽど嫌いになったんだろうな。警察官を辞めて、実家に引っ越した。それからは、一切連絡も取ってないよ」

「そう、だったんですか……。
じゃあ、もしかして、まだ、ユキさんのこと引きずっていたりしますか……?
その、私だったら、そんなふうに別れてしまったら、きっと引きずってしまうと思うから。ちゃんと話して、自分のことわかってもらいたいって思いそうだから」

だけど、私の質問に翔さんは。


「いや。引きずってはいないよ。むしろ、別れた時に、安心したんだ」

「安心?」

「これでもう、”彼女”っていう、守ってあげなきゃいけない対象がいなくなったんだ、って」

そう言って翔さんは、自嘲気味に笑った。
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