女の子として見てください!
私の言葉に、翔さんは私から目を逸らして、俯いた。

しばらくなにも言わずにそうしていたけれど、やがて顔を上げて、再び私の顔を見る。


その表情は……やわらかな笑顔で。


「遊園地の時。身体が固まったっていうのは本当。
だけどさ。さっきも言ったけど、お前自身は人質になっているっていうのに全然平気そうで。実際、相手のこと投げ飛ばすし。

この子と付き合ったら、俺が守ってあげられることはまずないだろうけど、楽な気持ちで過ごせそうだなとか自分勝手なことを思った。


自分勝手すぎて、そして自分に自信がないのも相変わらずだったから言えなかったけど、やっぱり俺、この子と付き合いたいかもって思ったんだ」


翔さんの告白に、笑顔に。私はうれしすぎるのに、泣きそうになってしまっていた。



「翔さん……私と付き合ってくれるんですか?」

「まだそうは言ってないけど」

「う」

「ウソだよ」

そう言って、翔さんは私の頬に右手をそっと乗せた。


そして。



「頼りない俺だけど、付き合ってくれますか?」


胸が、ドキドキして。
張り裂けそうになって。
でも、全然嫌じゃなくて。


「もちろんです……っ」

私がそう答えると、目を閉じた翔さんの顔が、私に近づいてきた。


ドキ……と、また胸が高鳴って。

私も、目を閉じた。


唇が、触れ合った。


それは温かさを残してすぐに離れたけど、


「好きだよ、美桜」

そう言ってくれた翔さんの言葉と、さっき以上にやわらかな笑顔はさらに温かくて、私の心から一生離れることはないと思った。



「ん、ん……っ」

その後、何度も何度もキスをされた。

うれしいけど、恥ずかしい。
恥ずかしいけど、うれしい。


だけど。


「なあ」

「はい……?」

「さすがに、早々にこれ以上……は嫌だよな?」

その言葉の意味はすぐに理解できて、心臓がバックンと飛び跳ねた。
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