女の子として見てください!
そして、デート当日。

待ち合わせ場所の駅前に向かうと、翔さんは時計柱に背を預け、私のことをすでに待っててくれていた。
待ち合わせの時間までまだ十分もあるのに、先に待っててくれてるのうれしいなぁ。

私は今日、例のことを打ち明けなきゃいけない。
だから、その件に関しては緊張している。

だけど、翔さんとデートできることは単純にうれしくて。
それに、付き合ってから初めてのちゃんとしたデートだし。

ゴリラ女の私だけど、今日はメイクも髪も、そして服装もがんばってきた。

私は、例のことを打ち明けなきゃいけないという変な緊張をいったん無理やり打ち消し、「うれしい」という気持ちを優先させながら、翔さんのもとへと駆け寄った。


「翔さんっ、お待たせしましたっ!」

私の姿を確認すると、翔さんは「おう」といつものクールで短い返事。

でも、普段とちょっと雰囲気の違う私を見て。


「今日はやけにかわいい恰好してるな」

と言われる。


かっ……!?かわ!?
翔さんが私のことをかわいいと言った!?

そりゃ、翔さんは彼氏なんだし。
彼氏が彼女のことを「かわいい」と褒めるのは、普通のことなのかもしれない。

だけど、相手はあのクールでツンな翔さんだし。
私の方も、ちゃんと私の中身を知ってくれている人から「かわいい」と言ってもらえたことは初めてで、ドキドキしている。


それに……。


「あ。美桜、危ない」


ボーッとしていたら、すれ違った人とぶつかりそうになってしまって。
そんな私の肩を、翔さんがやさしく自分の方へと引き寄せてくれた。


なっ、なななんか……



女の子扱い、されてる……?
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