女の子として見てください!
ムリかもしれない、と思ったその気持ちは、その後も薄らぐことはなかった。

デート中の翔さんはどこまでもスマートで、余裕が消えることはもちろんなくて。

そして、いつもより気持ち女の子扱いしてくれることはすごくうれしいけど、そのことが妙な気恥ずかしさを生むことにもつながって。

普段の私だったら、基本的に思ったことはなんでも言う。むしろ言ってしまう。
だけど、この件に関してはさすがの私も恥ずかしいし、それに……翔さんの反応がちょっと怖かったりもする。
それで幻滅されたりってことはいくらなんでもないだろうけどさ。
でも、「えっ?」って顔されるの、見たくない。

ほかの人にだったら、どう思われてもかまわないって思うかもしれない。
でも、相手が翔さんだから。本当に好きな人だから、そう思って不安になるんだろうな……。



結局、打ち明けることができないまま夜になり、お腹もほどよく空いてきた。

夕ご飯、どうするんだろう?ラーメンとかでも全然いいなー、なんて我ながら女子力の低いことを考えていると。


「実は店、予約してあるんだ。美桜、好き嫌いないって言ってたから、勝手に店決めちゃったけど、おいしいところだから」

と、翔さんが言ってくれる。


わあ。お店予約してくれてたなんてうれしいな。なんのお店だろう。ラーメンはあるだろうか。


そう思いながら、翔さんに連れてこられた先は……。
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