女の子として見てください!
「そうだな。『夜景なんかよりキミの方がキレイだよ』とか言った方がいい?」

「いっ、言わなくていいです!」

私は即座にそう言い返す。
そんな明らかなからかい口調で言われると、恥ずかしさより怒りの方が強くなる。


「まあ、それはさすがに俺のキャラじゃないか。
美桜も、そういうセリフは言われてもあんまりうれしくならなそうだしなぁ」

ハハッと笑いながら、翔さんが私にそう言う。
無邪気な笑顔。
ああ私、やっぱり翔さんの笑顔大好きだなぁ。


「うれしくないっていうか、『だって絶対そんなこと思ってないじゃん』って感じてしまいます。言われ慣れてないからですかね。普通の女性なら、言われてうれしいとは思いますけど。

だけど……今日の翔さんは、私のこと、いつもより女性扱いしてくれましたよね?」

翔さんの様子を窺うように、ゆっくりと言葉を紡ぎ、そう尋ねてみる。

すると翔さんは。


「そりゃあ、彼女だからな」

サラッと、そんなことを言ってくれて。

うう、心臓がもたないよ。


「まあでも、いくら褒めても美桜が喜んでくれなきゃ意味ないしな。これからは、美桜が喜びそうなことをもっといろいろ考えていく。

あ、でもひとつだけいい?
今さっき美桜が言った、『絶対そんなこと思ってないじゃん』っていう言葉。あれは誤解だから」

「え?」

「俺は、本当に思ったことしか言わないから」


……な、に。

心臓が、爆発と噴火を同時に起こしそうなんですけど!?


うわああやめてよおお。恥ずかしいよおお!

……いや、もちろんうれしいけど……。


でも、やっぱ。

翔さんのスマートな行動などが続いていくために、私はついに、「今日は打ち明けるのムリかも……」と思い始めてしまった。
いや、言うって決めたんだから言わないと。マミだって応援してくれてる。でも……。




悩み続けていると、最後のデザートが運ばれてきた。
それを口に含もうとした、その時。


「あのさ、美桜。



……この後、部屋、取ってあるんだけど」
< 132 / 155 >

この作品をシェア

pagetop