女の子として見てください!
そうこうしていると、刑事部室の扉がガチャッと開いた。

「おはようございます。今日からお世話になります」

入ってきたのは、今日からこの課でいっしょに働く新しい理事官ーー……

って……


「ああ。早かったな。悪いが、まだ三人しか来ていないんだ。とりあえず、今いる奴らだけでも紹介しとく。巡査の飯尾と、こっちの女がーーオイ、松城?」

課長が私を怪訝な顔で見つめる。
無理もないと思う。私が目を見開いて、口をパクパクさせていたから。


でも、無理もないでしょ‼︎だって……




新しい理事官が、なんで翔さん⁉︎

だって、銀行員って言ってたのに⁉︎

あ、双子⁉︎


「伊浅 翔です。よろしくお願いします」

彼は私と飯尾くんにそうあいさつをしてくれた。

双子じゃない。名前も、声も、翔さんだった。


でも、私が口を開こうとすると。

「初めまして」

と言われた。少し、強めに。


土曜日に出会ったことは、課長や飯尾くんに言ってはいけないのかな、と思い、私にしては空気を読んでそこからは黙り込んだ。


かといって、ずっと知らんぷりはしてられない‼︎


「伊浅さん、良ければ社員食堂案内しますよ!」

お昼時になり、翔さんがデスクを整理し始めたタイミングを見計らい、私は彼にそう声をかけた。
でも。


「いや、俺はここで食べるんで」

と、クールに返される。

……朝も少し思ったけど。
話し方とか、視線とか、土曜日よりもなんだか冷たい感じがする。もちろん、勤務中だからっていうのはあるかもしれないけど、課長や飯尾くんと話す時は、もっと柔らかかった。私にだけ、やたらそっけない。
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