女の子として見てください!
「ははははっ! 美桜さんそんなこと言ったんですか? あの人らしーや」
次の日、俺は給湯室でコーヒーをすすりながら、横でタバコをふかしている飯尾に昨日の件を話していた。
美桜と付き合っていることは、始めのうちは周りには内緒にしていたが、美桜がわかりやすすぎるせいで、美桜と仲のいい飯尾にはバレてしまった。
大笑いする飯尾だが、俺にとっては笑いごとじゃない。
「姉ちゃんの誕生日にはなにあげてたんですか?」
「服とか靴とか」
「オシャレ大好きな人間ですからねぇ。確かに美桜さんとは違うかも」
そうだなぁ。ミズウィアの服は好きだと言ってくれていたけど、親のブランドのそれを俺があげるのもなんか……って感じだし。
俺が再び悩みだすと、飯尾がさらりと答える。
「美桜さんの誕生日ですもん。食べ放題だろうとなんだろうと、美桜さんが望むことをしてあげるのが一番だと思いますよ」
「美桜の望むこと……」
確かに、そうかもしれない。
美桜の誕生日なのに、俺がしてやりたいとこを一方的に押しつけるわけにはいかない。
ブランドもののバッグも靴も、美桜は喜ばないだろう。
美桜が、俺と一緒に焼き肉食べ放題に行くことが楽しみだと言ってくれるなら。
「……そうだな」
飯尾に聞こえたかどうかわからないけど、俺は小さな声でポツリと呟いた。