女の子として見てください!
食堂に到着し、メニューの注文の仕方を簡単に教えた。
教えたといっても、食券機で食券を買って、食堂のおばちゃんに渡して、すぐに出してもらう、というごくごく普通のシステムなんだけど。

そこで、私はうどんを、翔さんは蕎麦を頼んで、テーブルに向かい合って座った。


「そういえばさっき、捜査部室でお昼食べるって言ってましたけど、今までお昼はパンだったんですか?」

「ああ」

「そうなんですねー。
……で、どういうことですか⁉︎」

私は辺りに人がいないのを確認してから、うどんに手をつける前に、とにかくそう言った。


「私、警察官だって言いましたよね⁉︎ なんで同職だって言ってくれなかったんですか⁉︎」

「あれは、まあ。警察官だとは聞いてたけど、警視庁とは聞いてなかったし。そりゃあ、もしかしたら月曜日から同じ職場の可能性もあるとは思ってたけど」

「銀行員ってなんですか」

「初めてあのバーに行った時、銀行員の友人といっしょだったから、ママが俺のことも銀行員だって勘違いしたんだよ。まあ、あの店で俺から仕事の話とかする気はいつもなかったから、なんとなくそのまま銀行員のフリしとこうと思って」

「そ、それならLINEで私だけに言ってくれれば良かったのに」

「……いろいろ事情があるんだよ」

事情ってなんだ、と思って仕方なかったけど、それよりも気になるのは、やっぱり冷たい彼の態度。
さっきからほとんど目を合わせてくれないし、私のことうざったそうにしている。
土曜日は、あんなにやさしかったのに……。
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