女の子として見てください!
「せっかく多発中だった窃盗犯捕まえてお手柄なのに、なんで落ち込んでんだあいつは」

その後、刑事部室に戻ると早々、自分のデスクに突っ伏した私のことを、課長がそう言うのが聞こえてきた。

でも、顔を上げる気力もありません。


「女らしくしようって思った矢先に超男らしい行動しちゃったから落ち込んでるみたいです!」

「マジで? 今さら女らしくとか無理だろ! 生まれ変わるしかないだろ! それより窃盗犯の検挙を誇らしく思うべきだね。まあ、そこはさすが松城と言うべきか、さすが“犯罪を呼ぶ女”と言うべきか」

「あはは! ウケる〜」

……後ろから聞こえてくる、課長と飯尾くんの言葉にイラッとする。

ていうか飯尾。『ウケる〜』じゃないだろ! ほんとにまた泣かすぞ!

課長も課長だよ!
女らしくは無理だとか、“犯罪を呼ぶ女”とか。
どっちも今は言われたくない言葉だよ!いや、いつも言われたくないけど!


はあ。私ってなんでこうなの。
今までの人生で散々、ギャップがうんぬん言われてきた。自分で自分のことかわいいと思ってるわけでもないけど、外見だけなら女らしい、というのは昔からよく言われてきたから、きっとそうなのかもしれない。
でも、望んでこの容姿になったわけじゃない。中身と外見のギャップに引かれるくらいなら、女らしい外見に生まれなくても良かった。いっそゴリラのような外見をしていれば、翔さんも私のことを女性として好きになってくれたのだろうか。
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