女の子として見てください!
だから早くどっか行ってもらおうと思って「はい、人と待ち合わせしているので」と伝えたのだけど。

「え~、待ち合わせ相手って女の子?」

「俺らマジで君と遊びたいのよ! 君みたいなかわいい子と!」

そう言われ、つい。


「えっ、かわいい? 今日の私、かわいいですか?」

と。翔さんが来るまでに自分に自信を持っておきたくて。つい彼らにそんなことを聞いてしまった。


「かわいいかわいい! 顔も服装も、そのふわふわした感じのしゃべり方も! 全部ザ・女の子って感じ!」

「ほんとですかぁ~」

「ほんとだよ! だから俺たちと遊……」


彼の言葉にかぶさるように、「びません」という声が、私のうしろから聞こえてきた。

振り向くと、そこにいたのは。


「翔さん!」

男の子ふたりは、翔さんの姿を見て「んだよ、やっぱ男と待ち合わせかよ」、「行こうぜ」と言って、そそくさとその場から立ち去る。


彼らのそんな姿を見てから、私は翔さんに視線を戻し、「電車大丈夫でした? 晴れて良かったですね!」と話しかけると。


――コツン。

と、軽く握った拳で、軽~く額を叩かれ。


「なにナンパされてんの」

と言われた。


「いや、まぁ。でも、あの子たち明らかに大学生くらいだし、年が違いすぎて子どもにしか見えなかったですよ。それでつい会話しちゃったっていうのもあるんですけど」

「お前はそうでも、向こうはそうは思っていないからナンパしてきたんだろ。もっと気をつけろよ。人懐っこいのが悪いとは言わんが」

あれ……?それってもしかして……。


「ヤキモチ、ですか?」
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