女の子として見てください!
人でにぎわう休日の遊園地を、ふたりいっしょにじっくりと辺りを見回しながら、歩いていく。

「どこか行きたいとことかある?」

歩きながら、翔さんがそう聞いてくれたので私は。


「ジェットコースター行きたいです!」

と答えた。

そうしたら。


「じゃあ俺待ってるから、ひとりで行ってきて」

と返される。


「ちょ、ちょっ!? デートでそれはないですよね!?」

「デートって言うな」

「男女が休日にいっしょに遊園地ですよ!? これはデート以外のなにものでもないと思うんですが!?」

「わかったよ、デートでいいよ。でもジェットコースターはひとりで行ってこい」

翔さんがデートって認めてくれた。それはうれしい。キュン!
でも、今はそこじゃなくて!


「翔さん、ジェットコースター怖いんですか?」

「怖いよ」

「あれっ、認めちゃった!『怖くなんかねーし』っていう返事を期待して、ちょっと挑発する感じで聞いてみたのに!」

「こんなことウソついても仕方ないだろ。なんであんなバカ速い乗り物に乗って、おまけに急降下までしなきゃいけないんだ」

「スリルがあって楽しいからではないでしょうか」

「俺は楽しいとは思えない」


う~ん、翔さんのジェットコースター嫌いは筋金入りのようだ。
残念だけど、仕方ない。


「じゃあ、もっとゆったりとしたアトラクションに行きましょう。その方が待ち時間も短そうですしね」

私が言うと、翔さんは。


「え? いや、いいよ。せっかく来たんだし、俺は待ってるからお前ひとりでもジェットコースター乗ってこいって。待ち時間なら気にしなくていいから」
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