女の子として見てください!
「子どもならともかく、アラサー女子がひとりでジェットコースターに乗って楽しめると思いますか?」

「お前なら楽しめそう」

「私のこと、なんだと思ってるんですか? まあ否定はしませんが」

「しないんだ」

「とにかく。私は今日、ジェットコースターに乗りにきたんじゃないんです。翔さんと、デートをしにきたんです! だから、隣に翔さんがいなきゃなんの意味もないんですよ」

私はそう言って、ゆったり系のアトラクションが多そうなエリアに足を向けた。まあ私、ジェットコースターは好きだけどゆったり系も大好きだし。

でも、翔さんに後ろから腕をつかまれて、足を止めた。


「翔さん?」

振り向いて、彼の名前を呼ぶと。


「ジェットコースター行くぞ」

「え、え?」

彼は私の腕をつかんだまま、そのまま引っ張るようにジェットコースターの方へと歩いていく。


「あ、あのっ、翔さん、ジェットコースターニガテなんですよね?」

「吐くほどニガテ」

「吐くほど!? あ、あのっ、べつに私、どうしてもジェットコースター乗らなくても……!」

私がそう言うと、翔さんはチラ、と顔だけ振り返って私のことを見て。
だけどすぐに顔を前に戻すと。


「俺だって……」

「え?」



「俺だって、今日はお前といっしょに過ごすためにここへ来たんだ」
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