女の子として見てください!
「大丈夫ですか?」

ジェットコースターエリアの近くのオープンカフェで、具合が悪そうにテーブルに突っ伏している翔さんに、私は声をかける。


「全然大丈夫じゃない」

ジェットコースターを降りたら、翔さんは青い顔をしていた。
休むためにすぐにこのオープンカフェにやって来て、冷たい飲み物を飲んだりしていたけど、翔さんまだ具合悪そう。


「ジェットコースター、想像以上の速さでしたね」

「ほんとだよ。なにあれ。あれのなにが楽しいわけ?」

「えーと、ヒヤッとする感覚、とかでしょうか」

「ヒヤッとしてなにが楽しいんだよ。ジェットコースター好きな人たちって絶対Mだろ。俺はどっちかというとSだからマジムリ」

「翔さんSなんですねっ? 私はどちらかというとMなので、相性バツグンですねっ!?」

「なんでもすぐにそっち方向に話持ってくんじゃねーよ。はあ、ようやくちょっと気分良くなってきた」

そう言って翔さんは、突っ伏していた体をゆっくりと起こした。


具合が良くなったのなら、少し安心だ。
でも、まだ顔色があまり良くないみたい。


「あ、そうだ。私、元気が出るドリンク持ってますよ。いつも持ち歩いてるんです」

私は、自分のバッグから水筒を取り出し、中の飲み物をコップに注いで翔さんに手渡す。


「え、ありがとう。水筒いつも持ち歩いてるなんて意外だな。家庭的というか……。でも、元気が出るドリンクっていったいなんだ? ずいぶん変わった色だが……」

言いながら、翔さんはコップの中身をグイッと飲み干す。


「マムシドリンクですよ!」

「ぶはっ!!」

あれ。おいしいはずなのに、翔さん急にむせ出してしまった。
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