女の子として見てください!
え?だってそうだよね?ナイフ突き立てられてる姿を見て爆笑するなんて、女性として見ていなかった証拠だよね?

そう思ったんだけど、翔さんは話を続ける。


「俺は……初めてお前に会った時は、確かに『ああかわいい子だな』って思ったけど。実際は、女の子らしすぎる子とかニガテなんだよ。元々女性があんまり得意ってわけじゃないから、女の子らしすぎる子はどう接していいのかわからないし、”女の子らしくて守ってあげたくなるような子”とかも好みのタイプじゃないし」

「え、え?」

突然会話の内容が飛躍した気がして、今度は私が首を傾げる。
急に、いったいなんの話?

でも、翔さんから翔さんの恋愛事情を聞くのは、そういえば初めてだ。
いつも、私から聞いてもはぐらかされていた。

それを、今は翔さん自身から話してくれている。
私は真剣に耳を傾けた。


「俺が好きなタイプは、あんまり女の子らしすぎなくて、飾ってもいなくて。守ってあげたくなるような子よりも、常に自分と同じ目線でいられる人」

表情も、口調も、いつもと変わらないクールな感じだった。

でも、その言葉の中身はなんだか私の心にじんわりとくる。


だって。



「つまり、翔さんの好みのタイプは私だということですね!?」

「そうは言ってないだろ!? 前々から思ってたけど、お前ポジティブ通り越して自分の都合のいいようにしか解釈できないのかよ!?」

盛大なツッコミを受けてしまいました。


そうか、違うのか。残念。
だけど、なんだかうれしい!
私って、やっぱりおそろしいくらいに単純。さっきまであんなに怒ってたのに、そして不安だったのに。今は、こんなに心があったかいなんて。
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