女の子として見てください!
「ひどいと思わない⁉︎ あれだけ人の外見を褒めといて、手も握ってきて、だけど私が本当のこと話した瞬間、すごいドン引きした顔を向けてきたのよ⁉︎」

私は、飲んでいたカクテルのグラスを、ドンッ!とテーブルに叩きつけるようにして置いた。

いつも飲んでるチャイナブルーは、今日も甘辛くておいしい。

このお店は、私がたまに来ている、いわゆる行きつけのバー。
ちょうどさっきの駅の裏通りにあって、お客さんもそれなりだ。
でも、ほかのお客さんは全員テーブル席でお酒を飲んでいるため、私はひとりカウンター席に座り、目の前のママに話を愚痴をこぼしていた。


「余計なこと言わずに、黙ってれば良かったのに」

だけど、ママからもさっきマミたちに言われたのと同じことを言われる。

ママは、次の誕生日で四十代になるらしいけど、凄くキレイで、パッと見は私と同じ二十代とも言える。

アップにした髪型と、カジュアルだけどやや胸元の開いた黒のワンピースがとても似合っている。

そんなおキレイなママにズバッと意見を言われると、私も少し、言葉に詰まってしまう。


「彼氏、欲しいなぁ〜……」

だから、愚痴をこぼすのはいったんやめて、自分の願望を口にした。

すると。


「……でも私は、美桜ちゃんのこと尊敬してるのよ。
同じ女性で、私よりも若いのに、凶悪な犯罪者に立ち向かえるのすごいなって思うもの。
柔道五段だって、単純にカッコいいって思うわよ。
そりゃぁ、見た目はいかにも女の子、って感じだからギャップはあるけど、逆にそこが魅力だと思うし」
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