女の子として見てください!
「ああ。ついでだから。お茶でも買うわ」

運転席のドアを閉めながら翔さんはそう言う。


「ていうかお前はなに買うんだ?」

「パンとお茶とゼリーと雑誌と梅干しのお菓子です」

「買いすぎ! 勤務中だぞ! しかもなんだ梅干しのお菓子って!」

そんな会話をしながら、私たちはいっしょに店内へと入る。


平日の午前中だし、店内はかなり空いていた。


翔さんが飲み物を選んでいる間に、私も自分の欲しいものを選んで手に取っていく。

パンと、お茶と、みかんゼリーと、雑誌と。
最後に、梅干しのお菓子を買うために、お菓子の棚のある列に入り、お目当てのものを探す。


すると。


「松城さん?」

ふと誰かに声を呼ばれて、振り返る。

そこにいたのは。


「光太郎君!」

「お久しぶりです。お元気ですか?」

近所の市立高校の学ランを着たその男の子――光太郎君は、にっこりとやさしく笑いかけてくれた。


「うん、元気だよー! 光太郎君、学校は?」

「文化祭の振替で、今日は午後からの授業なんです」

私が彼とそんな会話をしていると、ペットボトルのお茶を手に持った翔さんがちょうど私の方へやって来た。


知り合いか?と翔さんに聞かれたので、私は「はい」と答え。


「光太郎君、こちら私の上司の伊浅さん。うちの刑事課の理事官なんだ」

私が光太郎君に翔さんを紹介すると、翔さんも光太郎君に北署の伊浅 翔です」と言って頭を下げた。


「僕は、塩田 光太郎(しおた こうたろう)と言います。東高校の三年です。
松城さんには、二年前にちょっとお世話になりまして」

「お世話?」
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