女の子として見てください!
「そうか。きっとものすごく努力したんだろうね。偉いな」

光太郎君にそう声をかける翔さんは、とてもやさしい表情をしていた。


でも、私が横から、

「光太郎君、今や成績は学年トップだし、全国模試でも上位常連だし、今年受験生なんですが東大の受験も判定Aなんですよ!」

と言うと、
「変わりようがすごいな⁉︎」
と、驚いてツッコミをしてきた。
確かに、私も初めてそれを聞いた時は、ミラクルを超えた、ちょっとしたファンタジーかと思ったけど。


「ところで」

今度は光太郎君から、私たちに話を切り出す。


「おふたりは仲良さそうですが、付き合ってるとか……?」

「えっ?」

どうしよう?
光太郎君からそんなこと聞かれるとは思わなかったな。
あー、「うん、そうだよ」って答えたいよ!
でも、実際は付き合ってないしなぁ。
だけどハッキリ断るのもなんか違うような……?とか、私は思ってたんだけど、翔さんは。


「違うよ」

と、超ハッキリ答えた。
うん、なにも違くないね……だって付き合ってないもんね……ハハハ……。


すると光太郎君は。

「そうなんですね。……なら良かったです」

「え? なに? 聞こえなかった」

「いえ、なんでもないです。俺、そろそろ学校行きますね」

彼は私と翔さんに礼儀正しく頭を下げてくれる。


そして。


「松城さん。
俺にとって松城さんは……本当に憧れの存在なので」


彼はそう言うと、「じゃあまた」と手を振りながら店から出ていった。
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