女の子として見てください！

なんなんだい？ママ……。さっきは一刀両断、って感じだったのに、急にやさしくしないでくれ……涙が出ちゃうだろぉ……。

私がグッと涙を堪え、残りのチャイナブルーを一気に飲み干すと。


「ママ、ここ座っていい？」

と、私の隣の隣の席に、ひとりの男性が座った。

チラ、と横顔を盗み見ると、私より少し年上だと思われる、黒髪のかっこいい男性だった……。


するとママは。

「あら、カケルくん久しぶり！ そんなはしっこの方じゃなくて、こっち座りなさいよ！ ほら、この子の隣！」

と、私の隣をすすめてきた……。

ちょっ、待って。私、今涙目！
私は慌てて鼻水を啜って、顔のコンディションを整えた。


「すみません。じゃあ、お隣失礼します」

そう言って、カケルさんと呼ばれたその男性は、控えめに私の隣のチェアーに座り直した。


わ……間近で見るとほんとにかっこいい……。
なんていうか、美形。まつ毛長いし、肌キレイ。
きちんと整えられた髪はサラサラしてるし、Ｖネックの白ニットから見える鎖骨がセクシーだな、なんて思ってしまった……。


「美桜ちゃん、この人、カケルくんって言ってね、時々来てくれるのよ」

ママが私にそう言うと、カケルさんは私の方を見て少しはにかみながら。


「伊浅 翔（いあさ かける）です」

と、あいさつしてくれた。

はにかんだ笑顔も、かっこいいし美形だし、それでいてちょっとかわいい……。