女の子として見てください!
「わ、私、松城 美桜と言います。よろしくお願いします」

私がそうあいさつを返すと、ママはおもしろおかしそうに。


「カケルくん、この子、合コンで失敗して泣きそうになってたのよー。慰めてあげてよ」

と、言ったのだった……。

ママー! そういうこと言っちゃダメー! 恥ずかしいよー!


……でも、翔さんは。


「そうなんですか? こんなにかわいいのに……男性の見る目がないんですね」

と言ってくれて……。


胸がドッキンってわかりやすく飛び跳ねた。

ど、どうしよう。私、さっきまでシュウくんのこといいなって思ってたのに。

今、翔さんにすごいドキドキしてる……!

翔さんはちょうど私の右側に座っていたので、彼の左手を見ることはたやすかった。
指輪、してない。
独身、だよね?


「かっ……」

私は勇気を出して、質問してみた。


「翔さんは彼女とか、いらっしゃるんですか……?」

すると。


「いませんよ。いたらいいなって思いますけどね」

キ……キターァ‼︎
独身、彼女なし、その言い方だと、今好きな人とかもいなそう!

どうしよう、アタックしたい!付き合いたい!

でも……。


チラ、とママを見れば、「しー」と人差し指を口元にあてていた。たぶん、私の“正体”については言うなってことだと思う。

そうだよね。せっかく、『かわいい』って言ってくれたんだ。このまま女の子らしくして、ギャップを見せない方がいいよね。少なくとも、もう少し仲良くなるまでは。なにも今言うことない。

わかってる。わかってるんだけど……。



私、





ウソが大嫌いなんだ‼︎





「翔さん! 私、刑事をやってましてッ、凶器持った男の人とかも怖くないしッ、柔道有段者なので相当力強いんですッッ‼︎」
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