女の子として見てください!
「バカみたいだろ。自分より一回り以上も離れてる高校生の男子に嫉妬なんて」

「そ、そんな! 私、すごくうれしいです!」

「……ってか、もういいだろ、この話は。恥ずかしいわ」

「えぇっ! 嫌です! もっと話しましょう! 私、翔さんの気持ちをもっとはっきりと聞きたいんです!
葉子ちゃんとも約束してたじゃないですか! 自分の気持ち、気になる相手にちゃんと伝えるって! 気になる相手って、私で、いいんですよね……?」

翔さんをじっと見つめながら私がそう言うと、彼は少しの間のあと、ゆっくりと立ち止まった。私も、同じように歩くのをやめる。


すると、翔さんも私のことを見つめ返してくれて。

真剣な、表情で。


「……俺は、自分で思っていた以上に松城のことが気になってるみたいだ。
松城が三丁目に走っていったって聞いて、お前の身になにかあったらどうしようって柄にもなく焦ったし、動揺した。



……無事で良かった」



言い終わるのと同時に、翔さんの右手が、ゆっくりと私の頬に伸びてくる。


少し驚いて、状況が把握しきれなくて、私は翔さんの瞳をただただじっと見つめた。


するとゆっくりと翔さんの唇が近づいてきて――……


え、え……



キス――……?



私は、翔さんの唇が近づくのと同時に、ゆっくりと目を閉じた。



その時。




「あー、ふたりともお帰りなさーい」


飯尾君の声がして、私たちは慌ててお互いから離れた。
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