女の子として見てください!
その後、私たちは電車に乗り、数分後、とある駅で一緒に降りた。

駅を降りるとすぐそこに、海が広がっている。


私たちはその海辺を一緒に歩いた。




季節外れの海辺は、近くに私たち以外の人の気配がない。風も冷たい。

だけど……


夕焼けがとてもキレイだった。


海はどこまでも透き通って見えるのに、空に広がる夕焼けは真っ赤で。

なんだか胸まで熱くなるような錯覚に陥った。



「夕焼け、すごいですね」

私がそう言うと、翔さんは「ああ」と答える。

翔さんって、こういう短い返事多いなぁ。

でも、不満なんてない。

たとえ返事が短くても、翔さんが私の言葉に共感してくれていることにはかわりないから。
もうね、それだけでうれしいの。




そのままふたりで、たわいもない話をしながら夕焼けに染まる浜辺を歩く。

好きな人と一緒に歩く。それだけでもすごい幸せ。


だけど私は、駆け引きができないから。

押してダメなら押してみろ、な人間だから。


だから……。



「翔さん……好きです」

そう言いながら私が立ち止まると、翔さんも私の数歩先で足を止め、少し驚いたような顔をしながら体ごと私に振り向く。
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