女の子として見てください!
「好きなんです。初めて出会った時から、ずっと。
私のことを『ありのままでいい』って言ってくれた翔さんが、好きなんです。
でも、初めて出会った時より、今の方がもっとたくさん翔さんのこと好きです。
翔さんと一緒に過ごすと、翔さんのやさしいところとか素敵なところ、いっぱい見れます。
どんどん好きになっていくんです。
だから。

私と付き合ってください」


自信があったわけじゃなかった。だって、今まで何度も男性にフラれているから。

だけど、期待がまったくないわけでもなかった。


だから、私の言葉のあとに、翔さんの右手がそっと私の頬に伸びてきた時、すごくドキッとした。

もしかして、今度こそキス……?



そう、思ったんだけど。




「翔さん?」



翔さんは、私の頬に伸ばしかけたその手を、急に引っ込めた。


そして、苦い顔をしている。

なにかを思い出して苦しくなっているような……そんな表情だった。



私はもう一度、「翔さん?」と彼の名前を呼んでみる。

すると、彼は。




「……ごめん」
< 89 / 155 >

この作品をシェア

pagetop