女の子として見てください!
その後、私の様子に気づいたらしいママがうまく間に入ってくれて、私と翔さんは話を弾ますことができた。

翔さんは私より五つ年上の三十三歳で、銀行員をしているらしい。
趣味は読書と映画鑑賞で、どちらかといえばインドア派らしい。
割とアウトドア派の私とは趣味は合わなそうだけど、そこは愛の力があればどうにでもなると思う。私、相手に合わせられないタイプじゃないしね!


だけど、楽しい時間はあっという間で。
元々、バーに来た時間が遅かったというのもあるけど、そろそろお店を出ないと終電がなくなっちゃう。

お会計をして、帰り支度をしていると、翔さんも「じゃあ俺もそろそろ」と言って席を立った。


ママに意味深なウインクをされながら翔さんとお店を出ると、そのまま駅の方向へいっしょに歩いていく。


「か、翔さんも電車ですか?」

「いや、俺は家がこの近くなんだ。でも、駅までは送ってくよ」

「え⁉︎ いえいえそんな! 私なら大丈夫ですよ⁉︎ 柔道五段ですよ⁉︎」

「そんなことは関係ないんだよ」


キュン、とまた心臓が締めつけられた。
ドキドキしすぎて、死んじゃいそう‼︎



その後、駅まで送ってもらって。

改札前で、翔さんと別れようとした。


その別れ際に。

「か、翔さんっ! ラ、LINEのID教えてくれませんか……!」

たぶん顔は真っ赤だったと思うけど、私はそう伝えた。

翔さん、バーの常連みたいだし、ここで焦らなくてもまた会うチャンスはあったと思う。
でも私、駆け引きとかニガテだし、思いついたら即行動!しちゃうんだよね。割と男らしい性格、なのかもしれない。一応女だけど。


すると……。



「うん。連絡するね」
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