女の子として見てください!
「課長、それじゃあお先に失礼します」
と、翔さんは後ろの席の課長に頭を下げる。
「あー、そうか今日早く帰るんだったな」
課長がそう答えたので、私はポッキーを喉の奥に押し込んでから、話に割り込む。
「なんですか? かけ……伊浅さん、今日なにかあるんですか?」
すると翔さんは、右手の平を軽く私に見せて。
「抜糸」
と答えた。
そうか、病院に行く日なんだ。
さっきまで、あんなに悩んでたけど。
そのケガは、私のせいで負ったものだし。
それに、ポッキーを食べてちょっと元気になったし……。
私、やっぱり“押してダメなら押してみろ”な性格を変えることはできないみたいで……。
「私も行きます!」
と、席を立って言ってしまった。
翔さんは、当然と言えば当然だけど、「え?」と眉間にシワを寄せて私を見る。
翔さんからだけじゃなく、飯尾君からも「美桜さん、仕事終わってないじゃないですか」と言われる。
うう〜……そりゃそうなんだけど〜……!
翔さんだって私とふたりになるの気まずいだろうけど〜……!
でもぉ〜……!
と、私が食い下がっていると。
「終わってないと言っても、明日に回せるものがほとんどだろ。いいよ、伊浅に付き添ってやれ」
と、課長が言ってくれる。
課長⁉︎なぜナイスアシスト⁉︎わからないけどありがとうございます‼︎
翔さんはやっぱり微妙な顔をしていたけど、課長にハッキリそう言われたからか、なにも言わずに廊下へ出ていく。
なにも言わないってことは、おそらくついていってもいいのだろう!
私は五秒で帰り支度を済ませ、翔さんの後を追いかけて廊下へ出た。
☆
「仕事終わってないのに帰ってもいいなんて、課長らしくないこと言うんですね?」
美桜と翔が部署を出たあと、飯尾が次のポッキーを食べながら、藤澤にそう話す。
「ん? まあ、たまにはな。だってアイツ、伊浅のこと好きすぎるだろ。病院くらい付き添わせてやらないとな」
「あ、やっぱそうですよね? 俺、人の恋愛のこととか全然わかんないですけど、美桜さんのことはさすがにそうなんだろうなって思ってました」
と、美桜の恋愛について冷静に語る伊浅と藤澤だったが。
「まあ、子どもじゃあるましい大々的に応援したりはしないけどさ。上手くいくといいよな」
と、藤澤が言うと。
「ムリじゃないですか?」
飯尾は、表情や口調はいつもと変わらないものの、彼にしては冷たい言葉を放った。
しかし、飯尾がそう言った理由は、藤澤もわかっているようで、彼は飯尾に対してなにか否定したりはしなかった。
飯尾は新しいポッキーを口にくわえた状態で、それをポキンと折り。
「だって伊浅さんは、きっとまだ、”あの人”のことを忘れられていないから」
と、翔さんは後ろの席の課長に頭を下げる。
「あー、そうか今日早く帰るんだったな」
課長がそう答えたので、私はポッキーを喉の奥に押し込んでから、話に割り込む。
「なんですか? かけ……伊浅さん、今日なにかあるんですか?」
すると翔さんは、右手の平を軽く私に見せて。
「抜糸」
と答えた。
そうか、病院に行く日なんだ。
さっきまで、あんなに悩んでたけど。
そのケガは、私のせいで負ったものだし。
それに、ポッキーを食べてちょっと元気になったし……。
私、やっぱり“押してダメなら押してみろ”な性格を変えることはできないみたいで……。
「私も行きます!」
と、席を立って言ってしまった。
翔さんは、当然と言えば当然だけど、「え?」と眉間にシワを寄せて私を見る。
翔さんからだけじゃなく、飯尾君からも「美桜さん、仕事終わってないじゃないですか」と言われる。
うう〜……そりゃそうなんだけど〜……!
翔さんだって私とふたりになるの気まずいだろうけど〜……!
でもぉ〜……!
と、私が食い下がっていると。
「終わってないと言っても、明日に回せるものがほとんどだろ。いいよ、伊浅に付き添ってやれ」
と、課長が言ってくれる。
課長⁉︎なぜナイスアシスト⁉︎わからないけどありがとうございます‼︎
翔さんはやっぱり微妙な顔をしていたけど、課長にハッキリそう言われたからか、なにも言わずに廊下へ出ていく。
なにも言わないってことは、おそらくついていってもいいのだろう!
私は五秒で帰り支度を済ませ、翔さんの後を追いかけて廊下へ出た。
☆
「仕事終わってないのに帰ってもいいなんて、課長らしくないこと言うんですね?」
美桜と翔が部署を出たあと、飯尾が次のポッキーを食べながら、藤澤にそう話す。
「ん? まあ、たまにはな。だってアイツ、伊浅のこと好きすぎるだろ。病院くらい付き添わせてやらないとな」
「あ、やっぱそうですよね? 俺、人の恋愛のこととか全然わかんないですけど、美桜さんのことはさすがにそうなんだろうなって思ってました」
と、美桜の恋愛について冷静に語る伊浅と藤澤だったが。
「まあ、子どもじゃあるましい大々的に応援したりはしないけどさ。上手くいくといいよな」
と、藤澤が言うと。
「ムリじゃないですか?」
飯尾は、表情や口調はいつもと変わらないものの、彼にしては冷たい言葉を放った。
しかし、飯尾がそう言った理由は、藤澤もわかっているようで、彼は飯尾に対してなにか否定したりはしなかった。
飯尾は新しいポッキーを口にくわえた状態で、それをポキンと折り。
「だって伊浅さんは、きっとまだ、”あの人”のことを忘れられていないから」