女の子として見てください!
「……ビックリしました。ユキさんとは、どこで知り合っていたんですか?」

私がそう尋ねると、翔さんは。


「……同期」

と、ボソッと答えた。


「どっ、同期!? ウソ!?」

「ほんと。ていうか……」

同期、という情報だけでも私は目玉が飛び出そうなほどに驚いてしまったのに、翔さんは続けてこんなことを言ってくる。


「……昔、同じ署にいて。そんで、付き合ってた」


え……っ。


驚いた。でも、こんなに驚いているのに言葉につまって声が出ないという、不思議な現象が起こっている。



……それと同時に、以前、翔さんが私に言った、”あの言葉”を思い出す。


『俺、職場恋愛はしないって決めてるから』



あの時は、”そんなの関係ないって思えるくらいに、私のこと好きにさせてみせる”っていう気持ちでいっぱいで、その後も、そこまで気にしていなかった。というか、正直ちょっと忘れていた。

だけど。

以前、ユキさんと職場恋愛をしていたというのなら、『職場恋愛をしない』という言葉の理由は、きっと間違いなくそこに隠されている。
『職場恋愛はしないって決めてる』というよりは、『”もう”職場恋愛はしないって決めてる』とか、そういうことなんじゃないだろうか。


胸が、ざわつく。


私、やっぱり翔さんのこと、いつかは諦めなきゃいけないんだよね?

でも、



翔さんが職場恋愛をしないって決めている理由。それがわかるまでは……もう少しがんばりたい。がんばらせてほしい。
理由がわかれば、ハッキリと諦められるかもしれないから――……。


重荷になりたいわけじゃない。全力でどうしても拒否されたら、私は翔さんの幸せのために、身を引くつもりはちゃんとある。

だから、もう少し。もう少しだけ、あなたのことを好きでい続けることを許してください、翔さん――……。
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