女の子として見てください!
なんで、そんなことで悩んでるんですか?
「そういえば飯尾君ってさ、伊浅さんと元々知り合いだったの?」

翌日。
夕方の給湯室でコーヒーを淹れながら、私の後ろでポリポリとポテトチップスを食べている飯尾君にそう尋ねた。ポテトチップスを私にくれないのは……もう言うまでもない。


「ええ、まあ。って、なんで美桜さんがそのこと知ってるんですか? 一応、隠してたんですけど」

「ああ、その。昨日、伊浅さんに付き添った病院に帰りで、偶然ユキさんに会ってさ」

「ああ、病院に近くのケーキ屋で働いてますもんね。
そっか。伊浅さんも一緒だったから、その時にいろいろ知ったんですね」

飯尾君は、特になんてことないような表情と口調でそう言う。


でも、私は未だにいろいろと気にしていた。

ユキさんが仕事を辞めたのは五年前。ということは、きっとそれより前から付き合っていたのだろう。
ってことは、私はその頃はきっとまだ大学生で。警察官になってすらいなくて。
って。翔さんにだって昔付き合っていた人がいて当たり前だし、ていうかあれだけカッコよくて素敵な人なんだから彼女がいなかったって方がおかしいくらいだし。
だから、昔ユキさんと付き合っていたってことは、乱暴な言い方をすればどうでもいいんだ。

私が気にしているのは、翔さんが職場恋愛をしない理由だ。

確証はないけれど、普通に考えれば、ユキさんと付き合っていた時になにかあって、そのことがきっかけで職場恋愛をしない思考になったんだろう。

それはつまり、その理由こそ、翔さんが私と付き合えない理由かもしれなくて――……。
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