独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「電気なんて消せばいいじゃないですか」

そういって下風代理は左手で部屋の電気を消した。

電気が消えて辺りが暗くなると、視覚以外の感覚が敏感になってくる。


右手に感じる彼の体温や、触れていなくとも背中の後ろで暖かい空気を感じる。


身体全体で彼の体温を感じ、身動きができなくなりそうだが、仕事中ということを頭の中で自分に言い聞かせるように繰り返す。


「…下風代理、今は仕事中だよ」


ぱっと彼の右手の力が緩んだところで、私はドアノブをひねり、部屋を出た。


帰りの車ではお互い無言になる。

私は迷ったけど、聞いてみることにした。

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