独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
気がつかなかった。
車は金庫に向かっていなかったのだ。

春日町の道の駅で、下風代理は車を停めた。


「寄り道させてすいません。
今日は忙しくないですか?」

「…そんなに長い時間じゃないなら」


下風代理は自販機で缶コーヒーを買って渡してくれた。


「迷っていたけど、やっぱり言います。

僕、姐さんのこと好きです」


途中から予感はしていた。
それでもその一言は、私の胸を熱くする。

今って告白されているんだよね…
なんだかぼーっとしちゃってわからなくなりそう。


「最初は寂しさを紛らわすため甘えていた部分もあったんだけど、だんだんと一緒にいるのが居心地よくなってきて…」


私はただ渡されたコーヒーを飲んでいた。


こうした告白も13年前に村上にされた以来だから、なんだか実感がわかず、夢を見ているようにふわふわしていたのだ。

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