独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「今日は天気いいから、花火もよく見えるな」

あたしも空を見上げ「そうですね」と小さく答える。


下風代理は声のトーンを落として言った。


「彼氏のこと大丈夫か?別れたんだろ?」

「え?なんでわかるんですか?」

「あれ以来、家に来てないだろ」


我慢していたのに優しい言葉をかけられると、胸の奥から熱いものが込み上げてくる。


祐介のことを引きずっているからではない。
目の前の下風代理への想いからだろう。


「最近、皆が言ってたよ。
香坂ちゃん仕事頑張るようになったねって。

だけど俺は彼氏と上手く行ってないって聞いたもんだからさ。

余計なお世話だろうけど、無理してんじゃないかって心配になってんだよね」


胸がぎゅーっと切ない音で鳴く。
思わずぽろっと涙を落としてしまった。

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