独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
花火は一発ずつ、あたしたちの頭の上で光を咲かせる。

「やっぱ花火は杉ヶ浦の方が見応えあるな。

会場の近くで打ち上げるのも悪くないけど、少し煙たくなるよな」

「そうですね」


下風代理は「元気だせー」って言いながら、あたしの隣で笑っている。

その笑顔があたしの胸の黒いところをえぐっていくようで、油断をしたらまた涙が出そう。


「男なんていくらでもいるんだからさ、そんなやつ早く忘れちまえよ」


そうだった。
この人はあたしが振られたと思っているんだった。


「あの…あたしが振ったんです。しかもこっぴどく」


空を見上げたまま呟く。

下風代理はゆっくりと歩きだし、あたしも慌ててついていく。


そして、人混みから少し離れたところで止まった。
あたしが話し出すのを待っていてくれているようだ。

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