独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「俺がここに来た本当の理由なんだけどさ…」

どくん、と胸の中で大きく波を打った。


「付き合えないのはわかっていても、気持ちを伝えた以上、やっぱり姐さんの気持ちが聞きたいんだよ」


テーブルを挟んで向かい合わせに座っていたが、彼はソファに座る私の右隣に腰を下ろす。


前と同じシチュエーション。
こっちに手を伸ばしてくる気配を感じ、私は思わず目をつぶる。


きゅっと彼に抱き寄せられる。


「…前とは違うよ。

俺は甘えているわけじゃないし、姐さんだって俺の気持ちわかっているんだから。

姐さんから俺のこと突き放してよ。

でないと俺、もう自分で止まることできなくなってるんだからさ…」


耳元で響くウィスパーボイスに、体がとろけそうになる。

< 142 / 250 >

この作品をシェア

pagetop