独身一般職(37) vs 新人リア充(20)

「確かに窓口でもセールスをしている姿はよく見ていたけど、契約に繋げているかっていったら微妙な感じはしましたけどね」


すると、目黒次長の奥に座っていた渉外課の中島次長が言った。


「あの子、アフターフォローっていうか、一旦声をかけたお客様には再度電話してるみたいだよ。

それでうまく話して、契約とってるんだ。

新人だし、彼女の熱意に心打たれたお客様が、半分情けで契約してくれているのもあるけどね。

まあどっちみち、彼女の実力だよ。


そんなことでさ、俺もつい先週いきなり言われたんだ。

『中島次長のお客様の松田さん、定期預金契約してくれるそうなので、伺ってもらってもいいですか？』って。


そうやってうまく渉外を使って、契約してるのさ。

大したもんだよ、あの子は」


渉外課は地域ごとに担当者が割り振られている。

香坂さんはいつの間にかそこまで把握していて、電話で契約を取れた先には、渉外の地域担当者を向かわせていたらしい。