抜け出せない。。。
大人は誰も、私に母や弟と合わせたくないのか、御見舞にも行かせてくれない。
私も気になり意地になってしまい、
学校の帰りに勝手に病院に向かった。
しかし、いざ着くと、不安で病室に行けない。
病室がどこかすら聞くのに時間がかかった。

やっとの思いで母の元へ辿り着いた。

母の顔はアザだらけ。
首も、お腹の当たりも。。。
ちょっとした打撲でできるようなものではない。
赤と黒を混ぜたような色、とても痛々しくて、涙が出そうになる。
でもここで、私が泣くわけにはいかない。
そんな精一杯の思いで涙を堪える。
母も、涙目になりながらも、微笑んで
「ごめんね?」
と、私に言う。


この事故は、母が、運転中に脇見をし、
相手の車もスピードを出して角を曲がった時に起きたものだった。
割と交通量のあるT字路での出来事だ。

母は、そのことを涙を堪えながら謝る。
自分のことより怪我をした弟、私たちのことを気にかける。

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