再会


「美味しい!」


一口飲んだだけなのに、体の芯から温まっていくのがわかった。

ドイツで飲むのは初めてだ。



アキが一緒に旅してた時に、話してくれた記憶がある。

「子供の頃、クリスマスになると、大人たちが甘くていい匂いのする飲み物を飲んでて、すごく羨ましかった」って。

働き始めて、どこかの国で一緒だったドイツ人の仲間が、風邪をひいた時に飲ませてくれたことがあったっけ。

「これを飲むと、風邪なんて吹っ飛ぶのよ。これには、魔法が入ってるんだから。」って彼女は言ってた。

でも、わかる気がするな。

このグリューワインには、作ってくれた人の“愛情”っていう魔法がいっぱい詰まってるんだね。





グリューワインで温まったカラダで、マーケットの中をゆっくりと進んでいく。

その風景は、まるでおとぎの世界にでも迷い込んでしまったのかのように、まばゆい光に包まれていて美しい。

たくさんの露店が立ち並び、クリスマスのオーナメントやクリッペ、ガラス細工のお店から、もちろんソーセージのスタンドに、ドイツを代表するクリスマスケーキ“シュトーレン”のまで、ありとあらゆる店がひしめき合っていた。









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