再会


父に最後に会ったのは、いつだろうか。



私は24歳で働き始めてから、実家を出て、一人暮らしを始めた。

それ以来、電話では何度か話しをしたけど、会ってはいない。

来年の春で、定年を迎えるはずだ。

これまで40年近くも勤め上げた銀行を退職するのだと、今年の春頃、電話口で言っていた。

昔から仕事一筋で、家のことは母に任せっきり。

そんな父に、母は愛想をつかしたのだろうが、それでも父は、ただひたすらに働き私を養ってくれたのだ。



今では思う。

いくら感謝しても、したりないと。

社会に出て、自分も働き始めて、ようやくこんな風に思えるようになった。

子供だった私は、両親に振り回され、恨んだこともあったけど、今ではそんな気持ちは微塵もない。







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