再会
新市庁舎の近くまで歩みを進め、建物を仰ぎみた。
クリスマスでなくても観光客を楽しませてくれる、建物天辺のからくり時計は、今日は姿を潜め、光のライトアップで、いつもより幻想的な姿で街を見下ろしていた。
まるで走馬灯のように、あの旅の思い出が蘇ってくる。
そんな過去へ思いを馳せていた私は、懐かしい声で、意識を引き戻されたんだ。
「レイー!」
目線を新市庁舎の天辺から、入口付近に戻す。
そこに見つけた懐かしい姿に、私は、思わず走り出した。
「リリィー!ジューン!!」
そこには、昔と変わらない笑顔で笑う、リリィとジュンの姿があったんだ。
この十年、会いたくて、会いたくてしかたなかった二人の姿が目に飛び込んだ途端に、私の視界は涙で歪んだ。
それでも、一歩、また一歩と、私は二人へと歩みを進めた。