再会


ユースは、朝のうちにアキが電話で予約をしてくれてて、四人分しっかり確保されていた。

荷物を置くとすぐに、私たちは、アキについて街歩きを始めたんだ。



ハイデルベルクは、バロック風の町並みが残る、人気の観光都市だ。

旧市街を抜け、ネッカー川にかかるカール・テオドール橋を渡り、シュランゲン小道の急な坂道を、15分ほど登る。

途中「何この道?まだ続くのー?」なんて言うリリィを宥めながら着いた所は……



「ここは“フィロゾーフェンヴェーク”って言うんだ」

「フィロゾーフェンヴェーク?」



きれい―――

手前にネッカー川、その奥には赤煉瓦の町並み、左手山の麓にはハイデルベルクの古城が佇んでいる。



「あぁ“哲学者の道”」



アキはその美しい町並みを見つめたまま、そう呟いた。


「哲学者の道……か」


ゲーテをはじめ、多くの詩人や哲学者が、実際に歩いて思索にふけったという道からの景色は、ため息の出る美しさだ。






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