再会
「その道なら、京都にもあるで。俺の大学の近くやし」
「はぁ?それは“哲学の道”でしょ。あんた、やっぱり馬鹿ねぇ。んっ?でも……ジュンってもしかしてK大なの?」
ジュンの何気ない言葉にも、リリィは鋭く反応する。
「なんやねん?そない驚かんでも、ええやろ。俺、そこの工学部やねんから」
「はぁ、“脳ある鷹は爪を隠す”って言うけど、見事な隠しっぷりね。誰もあんたがK大生なんて、思いもしないもの。ってか、本当かも怪しいけど」
「おいおい、リリィちゃん、ちょっと言い過ぎと違う?」
この二人のやり取りってば、本当に面白い。
昨日会ったばかりとは思えない、絶妙のコンビネーションだ。
アキはと言えば、そんな二人の様子を微笑ましく眺めながらも、マイペースに静かに語る。
「ここも、大学を中心にした、学園都市なんだ。京都と一緒で、世界の至宝とされてて、爆撃も免れてる。俺は、この町の雰囲気が好きなんだ」
そう言って、アキは眼下に広がる大パノラマを眺めながら、目を細めた。