再会
「リリィは、たいそうデカイ夢があるらしいけど、そんなん、人前で言うてたら、ホラ吹きになるで!」
「何言ってんのよ、男のくせに、ケツの穴が小さいのよ!あんただって、夢くらいあるでしょ?そうやって、後生大事にギター抱えてさ。『歌で天下取ってやるー!』くらい言えないわけ?」
「はぁ?お前、さっきは、アキみたいに黙って、どっしり構えろって、言うてたやんか?どっちやねん?」
リリィのワインを飲む手は、止まらない。
グラスの残りを一飲みすると、手酌でグラスを満たした。
「はぁ~ヤダヤダ。男は、そんな小さなことには、拘らないでよ。これだから、中途半端な男は、嫌だわ」
これには、さすがに温厚なジュンも、一瞬怒りの表情を露にした。
テーブルをバンと叩く音で、一瞬静寂に包まれる。
「なんやとー!俺かて、夢くらい、あるっちゅうねん!」
「なら、言ってみなさいよ!」
「……それは……」
何か言いかけたジュンだけど、その次の言葉は、飲み込んでしまった。