再会


「ほーら、ごらん。言えないじゃないの!やっぱり、小さい男ね」

「ほんまに、口の減らへん女やなぁ。お前に聞かせるのが、もったいないくらい、デカイ夢があんねん!聞いたら、ビックリしてもうて、心臓麻痺にでもあったらあかんから、黙ってやってんねん!」

「はいはい。あんたこそ、口の減らない男ね。もう、いいわよ。早く飲みなさいよ!」

「上等や!リリィも飲めや!」


目の前で繰り広げられるやり取りを見ながら、アキと二人、苦笑いするしかなかった。

そんな賑やかな二人のやり取りを耳にしながらも、私の意識は、アキから離せずにいたんだ。


「アキはあんまり、お酒好きじゃないんだね」

「こうやって、みんなでワイワイするのは、嫌いじゃないけどな」


そう言って、静かにビールグラスに口をつけた。

でも、グラスは一向に空く気配がなかった。



それに引き換え、ワインをあおりまくっている二人は、顔が真っ赤だ。

リリィは、飲むと更に口が達者になり、攻撃的になるようだ。

それに引き換え、ジュンはと言えば、飲むとちょっと弱気になるらしい。

こないだも、ビアパブに飲みに行った時は、将来への不安を覗かせていたっけ。

でも、今日は強気のリリィに対抗してか、かなりの勢いで反撃してる様子だ。



そんな二人のやり取りは、いつの間にか、思わぬ方向へと進んでいたんだ。






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