再会
すると、すぐにユースの出入り口が開き、威勢よく女の子が飛び出してきたんだ。
そうか、さっき叫んでたのは彼女だったのか。
でも……
次の瞬間、思い切りニヤついている私と、彼女の目が合ったんだ。
「なに笑ってんのよ!」
そのあまりの形相に一瞬静止したが、やっぱり可笑しくなって、吹き出してしまった。
「あなたも野宿組?」
「“も”ってあんたも追い返されたの?」
その少女は、ドサっと荷物を置き、私の隣に腰を下ろした。
日本人にしては長身で、軽く170センチはあるだろうか。
しかも、かなりスリムで、外国人にも見劣りしない。
意思の強そうな切れ長の大きな瞳は、ポニーテールにしてるので、余計に釣り上がって見える。
黒い髪に黒い瞳、際立って整った容姿は、かなり目立つ存在だった。
でも、同じ境遇という親近感からか、私は自然と彼女に話しかけていたんだ。
普段の私なら考えられないことだけど……
「あなたも一人で旅をしてるの?」
「そうよ。パリに入るまでは結構すんなり宿、見つかってたのになぁ。もうここで5軒目よ。この街はバッグパッカーが多すぎんのよ」
彼女はそんなことをボヤキながら、次のあてを探して、ガイドブックをペラペラとめくり始めた。