再会


私なんて、3軒断られただけでもう諦めてたのに、なんてタフなんだろう、と思った。

そんな、疲れ果てた日本人の女の子二人が座り込んでいる所に、柔らかいブロンドヘアの男性が近づいてきたんだ。


「Bonjour.」


一瞬、彼女と二人目を合わせたけど、彼女の方が先に「Bonjour.」と答えた。

すると、その青年は彼女に何か一枚のメモを渡し、フランス語で話し始めたのだ。

私はさっぱり分からなかったんだけど、隣の彼女はなにやら相槌をうちながら、ちゃんと会話をしているようだ。

さっき叫んでた『フランス語くらい喋れるわよ』は伊達じゃなさそうだ。

青年の胸元には、ここのユースホステルのスタッフらしき名札がついている。

そんな二人の様子をぼんやり眺めていると、突然彼女に話を振られて、ビックリしてしまった。


「あんたも部屋ないのか?って聞いてるわよ」

「え?」


驚いて青年の顔を見ると、とても優しげなブルーの瞳で見つめられていて、少しドキっとしてしまった。




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