再会


ビアホールを出て、夜のミュンヘンを四人で歩いた。

相席のおじさんに気に入られてしまったジュンは、「家においでよ!」っていう誘いを断るのが大変だったんだけど。

なんとか抜け出し、涼しい夜風を受けながら、ユースへの帰り道を歩いていた。



再度、マリエン広場を通りかかると、またからくり時計の演奏の時間だったようだ。


「これは、ちょうどおやすみの挨拶だ。二回も見れるなんてラッキーだな」


アキが、そう教えてくれた。

ジュンの解説によれば、夜は九時になると夜警と天使とミュンヘン小僧が出てきて、おやすみの挨拶をしてくれるのだそうだ。

昼間より少し静かな広場の上空から、優しい音楽とともに、可愛い人形のたちのメッセージが降り注いでくる。

私たちは、暫く四人でその様子を眺めていたんだ。



するとおもむろに、リリィが口を開いた。


「ねぇ、アキ、なんで再会の場所をここにしたの?」


多分、立地的にもちょうど良かったし、リリィはロマンティック街道を行くと言っていたから、ここになったのだろうなぁ、くらいに思っていたんだ。




< 170 / 319 >

この作品をシェア

pagetop