再会
列車で、寒かったスイスの山を越え、北イタリアへと入った。
それから何度か乗り継ぎをし、そのたびに、上着を一枚二枚と脱ぎ捨てた。
地中海が見え出す頃には、皆、短パンツにタンクトップ一枚でも汗ばむほどの気候になっていた。
ヴェネツィアの一つ手前、ヴェネツィア・メストレ駅でたくさんの乗客が降りるのに惑わされることなく、終点ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅への出発時刻を待っていた。
海に浮かぶ神秘の都は、もう目の前だ。
動き出した列車は、まるで海の上を泳ぐように走っていく。
遮るものは何もない。
周囲は空と海のみ
そして前には、一本の線路だけ
否が応でも期待は高まる。